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ドストエフスキー処女作『貧しき人々』

ドストエフスキーは、お金に困っていたということで、完成しない原稿について、原稿料の計算を繰り返したり、工兵 学校時代の

同窓で、同じ借家に住んでいたD・V・グリゴローヴィッチという新進作家に頼み、ネクラーソフに原稿を 渡してもらった経緯があったようだ。

 書き上げた作品には、渾身の思いを込めたという自信があった反面、(あの人はおれの『貧しき人々』なんか、一笑に付してしまうだろう!)と不採用への危惧で揺れていた。

 だが、D・V・グリゴローヴィッチとネクラーソフは、夜明かしして、ドストエフスキーの『貧しき人々』を読む結果になったという。それほどに感動を与えた作品だったというのだ。


 私も今、米川正夫訳で、河出書房から出された全集で、『貧しき人々』(現在この出版社の本は品切れのようなので、以下に新潮文庫のものを記載した)を読んでいる。

「ヴァルヴァーラ・ドブロショーロヴァ」の手紙の中で、家庭教師・ポクローフスキイとその父親について書かれた部 分を読んでいて、世の中に父子のことをこれほどに描き切ることが出来る人がほかにいるだろうか、と思うほどにひきつけられて読んでいる。

 生活苦のためだったからとも言えるが、自作をここまで商品として売り込んでいくドストエフスキーの気概は大したものだと思わずにはいられない。

 ドストエフスキーという人は、それだけ創作に打ち込んでいたし、ある面自信があったのだろうと思う。

 そしてまた、作品紹介を読んでいると、創作の背景に並々ならぬ努力の跡が感じられるのである。


貧しき人びと (新潮文庫)


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いちい
Posted byいちい